武道ライター山里栄樹のブログ

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山里、さらに文才について語る

 今年は長い梅雨になりそうですな‥そのうえ昨年から続くコロナ禍、蒸し暑くなればマスクが煩わしく思えてきますね。暑くなれば熱中症の予防にも心配りせねばなりませんな‥

 さて、今回も前回に続き“文才”について語ってまいりたいと思います。ちなみに前回の記事が好評で当ブログへのアクセスが格段に伸びておりました。前回では、“文才”とは先天的な天賦の才よりも幾多の修養を重ねて個々に育まれていく後天的な才能がほとんどだということを語りました。

 ただ、多くの物書きたちの文才がそうであるように筆を執ればたちどころに名文が泉のようにドクドク湧き出るというわけではありません。スラスラと筆が運んでいくようになるには、きっかけとタイミングがあるのですな~

 小生の場合、腰を据えて執筆作業に専念するのは昼間より夜間でありまして、家事や雑事で中断されることなく比較的スムーズに効率よく作業が進みます。物書き稼業には“夜型人間”が多いといわれますが、間断なく執筆作業を継続できるのは世人が寝静まる深夜しかないというのが理由なのであります。

 武道専門誌の記者であった小生、昼は取材活動で動き回っているため記事執筆は夜になります。特にレポート記事は取材で入手した素材を新鮮なうちに手早く文章にまとめて記事にしなければなりません。時間が経ち過ぎると見聞した記憶・印象・所感が変質してしまうのですな。レポート記事はアウトラインを取材したその日のうちに作り上げておく必要があります。そうしておけば、あとで推敲を重ねてじっくり手直しすることも可能なのでありますな。

 といっても、締め切りが迫っている記事は徹夜で書き上げることもよくありました。長時間の徹夜仕事は眠さとの戦いになり、あまり効率のよいものではありません。夜に執筆作業を開始して日付が変わり、深夜から明け方にかけて幾度となく睡魔に襲われます。東の空から徐々に明るくなってきた日の出前、それまで固く花弁を閉ざしていた蕾のような文才が突如として開花するのですな~ それはまさに、文章の神様が天から降臨してきたともいえる痛快な瞬間なのであります。

 スラスラと滑らかに泰然自若で無為自然な文章表現が淀みなく湧き出し、あれよあれよという間に記事が一気に書き上ってしまうのであります。これは古流武術の伝説によく登場してくるエピソードで、流祖が霊山などの聖地で参篭修行していると夜明け近くに神童や天狗が現れて武術の奥儀を授けてくれるというパターンそのものですな。

 記事執筆が一段落してひと眠りして、眠りから覚めてあらためて書いた記事を読み返せば「これ、本当に俺が書いたのか?」という衝撃が走る完成度の高さを感じました。

 つまり、文才が突如として開花してスラスラと文章を執筆しているときは、普段の自分とはまた違う別人格の自分が成り代わっているとも思われるのであります。文才というものは書き手としての別人格とパッケージで備わっているものと考えられます。

 徹夜の執筆作業で睡魔が襲ってくる夢うつつの意識状態の果てに、文才を有する別人格が入れ替わって凡人の自分に代って文章を書いてくれているということなのでしょうな。時間が経ってから自分の書いた文章を読み返す度に、そうとしか思えないのであります‥

 

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能楽鞍馬天狗』の絵図;鞍馬山の大天狗から武芸の奥儀を授かる牛若丸(源義経)、夜な夜などこからともなく現れた天狗に武芸の奥儀を授かるというパターンは夜明け前に開花する物書きの文才を彷彿させる

 

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RADWIMPS 『何でもなんでもないや 』

アニメ映画『君の名は』の挿入歌、「入れ替わってる!」という名セリフでお馴染みの男女の人格がそれぞれ入れ替わってしまうというファンタジーストーリー作品。他人の人格が入れ替わるかどうかはさておき、自分の中に居る別人格(交代人格)が入れ替わることは考えられる

 

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