武道ライター山里栄樹のブログ

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山里、武蔵の『獨行道』に思う‥

 コロナ禍の昨今、甚大な感染拡大により日本各地では厳戒態勢の日常が続いております。

 高齢者へのワクチン接種も行われておりますが、様々な混乱を引き起こしてなかなか順調に進んでいないようですな‥日本が集団免疫を獲得するのはまだまだ先の話のようでありますな。

 さて、例によって小生は夜な夜なライトノベル作家の華原美雲氏とリモート談議に耽っております。先日、華原氏から宮本武蔵の『獨行道』について解説を求められました。華原氏が昔観た時代劇の主題歌に“獨行道”というフレーズが印象深く聞こえたとのこでして、詳細を知りたいとのことでした。

 剣豪の宮本武蔵が最晩年に書き残した処世訓が『獨行道』であります。21箇条の訓示により構成されており、愛弟子の寺尾孫之丞に宛てた形で書き記されています。日付は正保弐年(1645)五月十二日とあり、これを病床で書き記した七日後に武蔵は臨終を迎えました。

 『獨行道』は、武蔵が後進たちに残した遺言なのでますな。天下泰平の世に兵法者(武道家)として如何に生きるべきかを説いたものなのであります。その根底には、沢庵禅師から授かった心法の教えが如実に感じられます。「道を究めようと志す者は、一つ所に心を捉われてはならない!」

 混沌としたコロナ禍の時勢、『獨行道』を読み返すと一筋の光明が見えてくるのでありますな~  

           『獨行道』 宮本武藏 

一、世々の道をそむく事なし  (世の中の道に外れることはしない)

一、身にたのしみをたくます  (自分の楽しみを優先させない)

一、よろつに依怙の心なし  (何事にも依怙贔屓する心を持たない)

一、身をあさく思世をふかく思ふ  (自分のことは浅く、世の中のことは深く考える)

一、一生の間よくしん思わす (一生涯、欲望に捉われないように生きる)

一、我事におゐて後悔をせす (自分の行いを後悔することなく生きる)

一、善惡に他をねたむ心なし (善悪の判断で他人を妬む心を持たない)

一、いつれの道にもわかれをかなします (どんな場合でも別離を悲しまない)

一、自他共にうらみかこつ心なし (自分のこと他人のことを恨むことはない)

一、れんほの道思ひよるこゝろなし (恋慕の情に心を捉われない)

一、物毎にすきこのむ事なし (華美な趣味道楽を好まない)

一、私宅におゐてのそむ心なし (自分の住居に執着しない)

一、身ひとつに美食をこのます (必要以上の贅沢な美食を好まない)

一、末々代物なる古き道具を所持せす (伝来の家宝となる高価な骨董品は持たない)

一、わか身にいたり物いみする事なし (不吉なものを避けることはしない)

一、兵具は各別よの道具たしなます (武具は別として、他の道具はこだわらない)

一、道におゐては死をいとわす思ふ (武士道においては死を覚悟して臨む)

一、老身に財寶所領もちゆる心なし (老齢になり、財宝や領地に執着しない)

一、佛神は貴し佛神をたのます (神仏は貴く敬うが頼らない)

一、身を捨ても名利は捨てす (命は捨てても名誉は捨てず)

一、常に兵法の道をはなれす (常に武道武術の道を離れない) 

 

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         剣聖 宮本武蔵玄信

 

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