武道ライター山里栄樹のブログ

武道ライター山里栄樹の個人的なブログです

“先憂後楽”今はまだ憂るべき時なり!

「令和2年7月豪雨災害」で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

さて、街中ではコロナ禍での自粛生活から解放されたかのように夏の行楽シーズンを楽しもうとしております。観光をはじめ様々な接客サービス業に従事される方々にとっては客足が戻り、なんとか稼業が営めるようになりつつあります。しかし、禍の全てが過ぎ去ったわけではないのでありますな・・まだまだ疫病は退散しておらず、天変地異による自然災害は次々と押し寄せるのであります。

 小生の大好きな言葉に“先憂後楽”というものがありまして、これは中国古典『岳陽楼記』の一節に「士はまさに天下の憂いに先立ちて憂え、天下の楽しみに後(おく)れて楽しむべし」に由来する故事であります。北宋の忠臣と讃えられた范仲淹が、国を治める為政者の心得とはこうあるべきだと説いた言葉で、現代に当てはめるなら社会を支える必要欠くべからざる職業に従事されている方々(エッセンシャル・ワーカー)は“士”であり、世人の憂いより先に憂いて備えるべし!ということなのであります。転じて「他者より先に苦労や苦難を体験した者には、必ず後で安楽が訪れて報われる」とも言われています。

 世の中がバブル景気に沸き立っていた90年代、街やリゾート地では多くの人々が豪遊三昧に明け暮れていました。若き日の小生は“先憂後楽”を座右の銘に、夜昼の別なく土日祝日や連休はおろか盆暮れ正月も社会機能維持者の一人として日夜働いておりました。きらびやかに輝く経済活動の表舞台の陰で、小生は裏方の一人となって日々黙々と社会を支えていたのでありますな。

 とはいっても、それなりに快適な日常を送っておりました。シフト勤務なので平日の公休、盆暮れ正月の大型連休は避けて休暇を取り、通勤時間もピークをずらして満員電車に乗ることもなく、人口過密な大都会で暮らしていても人と人とが引き締め合う息苦しさは感じませんでした。

 “先憂後楽”での生活スタイルは、ストイックに我慢を強いるものではなく、人々の動きのオフピークを上手に活用するということなのでしょうね。外出するときは四六時中マスクを装着するより、街行く人が極力少ないときに外出し、直に肌で外気を感じて快活に過ごすのが最も健康的なのです。

 人々が生活する世の中には「気が淀み・滞る時空間」が散在しています。そこを避けて日々快活に過ごすことができるように、自分が持てる様々な感覚センスを日夜研ぎ澄まして備えるのが武道武術の修行なのでありますな~

まだまだご油断召されるな!残心・・

 

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心形刀流剣術の演武 不測の事態に応じる「残心」が肝要!

 

 

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